3Dプリントのネジ切りとは、3Dプリンターで造形した部品に対して、タップやダイスなどの工具を使用してネジ山を加工する後加工です。
3Dプリントでは、3Dデータの段階でネジ形状を設計することもできますが、精度や強度、使用する材料などによっては、造形後に機械加工でネジ山を仕上げる方法が適しています。
代表的な加工方法には、
タップ加工
ダイス加工
インサートナットの埋め込み
ヘリサート・ねじインサート
などがあります。
例えば、3Dプリントした部品に、
といった機能を持たせることができます。
特に試作品や治具、機械部品、筐体などでは、3Dプリント後にネジ加工を行うことで、「造形物」から「実際に使用できる部品」へ仕上げることができます。
3Dプリント品にネジ穴を加工することで、他の部品とボルトやネジで固定できます。
例えば、
などに活用できます。
接着剤を使用せずに組み立てられるため、メンテナンスや部品交換が必要な製品にも適しています。
ネジによる接合の大きなメリットは、繰り返し分解・組立ができることです。
例えば、
試作
↓
組立
↓
動作確認
↓
分解
↓
設計変更
↓
再組立
というサイクルを繰り返すことができます。
製品開発や機能試作では非常に重要な特徴です。
接着剤による接合が難しい場合でも、ネジ加工を利用できます。
また、接着剤を使用しないため、将来的に部品を交換したり、メンテナンスしたりすることも可能です。
3Dプリントした樹脂部品にネジ穴を設けることで、金属製のボルトやナットと組み合わせることができます。
例えば、
樹脂製ブラケット
+
金属ボルト
+
金属フレーム
といった組み合わせが可能です。
タップ加工とは、穴の内側にネジ山を作る加工方法です。
内部にネジ山を作るため、
雌ネジ(めねじ)
を形成する加工です。
例えば、
M3
M4
M5
M6
などの規格に合わせてネジ穴を加工できます。
3Dプリント品に下穴を開け、タップ工具を使用してネジ山を形成します。
タップ加工の基本的な流れは、
3Dプリント
↓
下穴を確認
↓
必要に応じてドリル加工
↓
タップ加工
↓
ネジの確認
となります。
タップ加工では、使用するネジのサイズに応じた適切な下穴径が必要です。
例えばM3、M4、M5など、ネジ径によって適切な下穴径が異なります。
また、材料によって加工条件も異なるため、3Dプリント材料の特性を考慮する必要があります。
ダイス加工とは、棒状の部品などの外側にネジ山を作る加工方法です。
タップが、
穴の内側
にネジ山を作るのに対して、ダイスは、
棒や軸の外側
にネジ山を作ります。
つまり、
タップ
→ 雌ネジを作る
ダイス
→ 雄ネジを作る
という違いがあります。
3Dプリント品の軸部分などに外ネジを追加したい場合に利用できます。
| 項目 | タップ | ダイス |
|---|---|---|
| 加工場所 | 穴の内側 | 軸の外側 |
| 作るネジ | 雌ネジ | 雄ネジ |
| 主な用途 | ネジ穴 | ネジ軸 |
| 使用工具 | タップ | ダイス |
| 例 | M3ネジ穴 | M3ネジ山 |
例えば、
ネジを差し込む側
→ タップ加工
ネジを外側に持つ側
→ ダイス加工
と考えると分かりやすいです。
3Dプリント品のネジ加工には、タップ・ダイス以外にもいくつかの方法があります。
3D CAD上でネジ形状を設計し、そのまま3Dプリントする方法です。
複雑な形状や特殊なネジ形状にも対応できる可能性があります。
ただし、3Dプリント方式や材料によっては、細かなネジ山を正確に再現することが難しい場合があります。
3Dプリント時には下穴だけを造形し、造形後にタップ加工を行います。
比較的シンプルで、実用的な方法です。
特に、
M3
M4
M5
などの一般的なネジ規格を使用する場合に適しています。
樹脂部品に金属製のインサートナットを埋め込む方法です。
繰り返しネジを締めたり緩めたりする場合に適しています。
樹脂だけでネジ山を形成するよりも、耐久性を高められる場合があります。
ネジ穴の内部に金属製のインサートを組み込む方法です。
樹脂部品のネジ穴を補強したい場合に使用されます。
特に繰り返し組立や高い締結力が必要な場合に検討されます。
タップ加工は可能な場合がありますが、材料によっては脆く、ネジ山が破損する可能性があります。
繰り返し締結する場合は、金属製インサートの使用を検討します。
比較的機械加工しやすく、タップ加工などに利用できます。
ただし、ネジの締結力や繰り返し使用による耐久性は、部品形状や材料特性によって異なります。
タップ加工は可能ですが、材料が硬く脆い場合があるため、加工時の割れやネジ山の破損に注意が必要です。
比較的靭性があり、ネジ加工に適する場合があります。
ただし、材料の吸湿性や寸法変化を考慮する必要があります。
柔軟性があるため、ネジ加工の際にはネジ山の変形や締結力などを考慮する必要があります。
ネジ穴の周囲の肉厚が薄いと、締め付け時に部品が割れたり変形したりする可能性があります。
特に樹脂部品では、ネジ穴周辺の肉厚を十分に確保することが重要です。
ネジの締結長さが短すぎると、十分な固定力を得られない場合があります。
一方で、ネジを深く締めすぎると、部品の内部に干渉する可能性があります。
樹脂に直接タップ加工したネジ穴は、繰り返し締結するとネジ山が摩耗する可能性があります。
頻繁に分解・組立する場合は、
インサートナット
ねじインサート
などを使用する方法が有効です。
3Dプリントでは積層方向によって強度が異なる場合があります。
ネジ穴やネジ山に力が集中する場合は、
積層方向
荷重方向
ネジの締結方向
を考慮して造形することが重要です。
タップ加工では、ネジ規格に合った下穴径が必要です。
下穴が小さすぎると加工時に材料へ大きな負荷がかかり、割れや破損の原因になる場合があります。
反対に大きすぎると、十分なネジ山を形成できない可能性があります。
ネジ加工を前提として3Dプリントする場合は、3D CADの段階から設計することが重要です。
例えば、
ネジ径
ネジピッチ
ネジ長さ
下穴径
肉厚
締結方向
造形方向
インサートの有無
などを検討します。
特に重要なのが、**「3Dプリントで直接ネジを造形するのか」「造形後にタップ・ダイス加工をするのか」「金属インサートを使用するのか」**という選択です。
試作品の用途や使用回数、必要な締結力によって最適な方法は変わります。
3Dプリント品のネジ加工は、単独で行うだけではありません。
例えば、
3Dプリント
↓
分割・接合
↓
研磨
↓
タップ加工
↓
塗装
という組み合わせも可能です。
また、
3Dプリント
↓
下穴造形
↓
タップ加工
↓
金属インサート組み込み
↓
組立
という工程もあります。
このように、ネジ加工は3Dプリント品を実際の製品や機械部品として使用するための重要な後加工です。
実際のネジを使って組み立て・分解できる試作品。
電子機器や機械装置のケース。
ボルトやネジで固定する治具。
他の部品とネジで接続する部品。
ネジ締結が必要な機械部品。
モーターやフレームとの接続部品。
ネジで固定・取り外しするカバー。
金型を使用せず製作する少量の部品。
3Dプリントのネジ切りとは、3Dプリンターで造形した部品に対して、タップやダイスなどを使用してネジ山を加工する後工程です。
タップ加工は穴の内側に雌ネジを作り、ダイス加工は軸の外側に雄ネジを作ります。
3Dプリント品のネジ加工には、
造形時にネジ形状を作る
造形後にタップ加工する
ダイスで外ネジを加工する
インサートナットを組み込む
ヘリサート・ねじインサートを使用する
などの方法があります。
どの方法を選ぶかは、
材料
ネジサイズ
必要な強度
締結回数
使用環境
部品形状
などによって決まります。
特に繰り返しネジを締結する場合や、高い締結力が必要な場合は、樹脂に直接ネジ山を形成するよりも、金属製インサートを使用する方法が適している場合があります。
また、3Dプリントでは積層方向によって強度が異なる場合があるため、ネジ穴の位置や造形方向を設計段階から検討することが重要です。
アリエルでは、3Dプリントによる造形だけでなく、タップ加工、ネジ加工、インサートナットの組み込み、分割・接合、磨き・研磨、塗装、コーティングなど、造形後の各種後加工まで、用途に合わせた製作方法をご提案しています。
「3Dプリント品にネジ穴を作りたい」「樹脂部品にタップ加工をしたい」「3Dプリント品に金属インサートを入れたい」「試作品を実際のネジで組み立てたい」など、3Dプリント品のネジ加工・タップ加工についてもご相談ください。