3Dプリントの分割造形・接合とは、3Dプリンターの造形サイズを超える大型製品や、一体で造形することが難しい複雑な形状を、複数のパーツに分割して造形し、その後に接合して一つの製品に仕上げる製作方法です。
3Dプリンターには、使用する機種ごとに造形可能なサイズに制限があります。
そのため、大型の製品や模型を製作する場合、一つのパーツとして造形できないことがあります。
そこで、
3Dデータを分割
↓
各パーツを3Dプリント
↓
位置合わせ
↓
接着・接合
↓
継ぎ目の処理
↓
研磨・表面仕上げ
↓
塗装・コーティング
という工程を組み合わせます。
分割造形を活用することで、3Dプリンターの造形サイズを超える大型モデルや、複雑な形状の製品を製作できるようになります。
また、単純に大きな部品を分割するだけでなく、
といった目的でも分割造形が活用されます。
最も一般的な理由が、3Dプリンターの造形可能サイズを超える製品を製作する場合です。
例えば、
などがあります。
一つの部品として造形できない場合でも、複数のパーツに分割することで製作可能になります。
例えば、
全長1,000mmの模型
を、
250mm × 4パーツ
に分割して造形し、接合することで、一体型の大型モデルとして仕上げることができます。
複雑な形状を無理に一体造形すると、サポート材が大量に必要になる場合があります。
そこで、造形方向を考慮してパーツを分割することで、
ことができます。
分割は単なる「サイズ対策」ではなく、3Dプリントそのものを成功させるための設計手法でもあります。
一体で造形した場合、研磨や塗装が難しい部分でも、分割しておくことで作業しやすくなる場合があります。
例えば、
パーツA
→ 研磨
パーツB
→ 塗装
パーツC
→ 内部部品を組み込み
というように、それぞれの工程を別々に行えます。
最後に組み立てることで、完成度の高い製品に仕上げることができます。
分割方法は、製品の形状や用途によって異なります。
製品を上下方向に分割する方法です。
大型の円柱や箱形状などに適しています。
製品を左右や前後方向に分割します。
大型模型や外装部品などで利用されます。
製品の構造そのものに合わせて分割する方法です。
例えば、
などに分けます。
完成後の組み立てを前提とした設計です。
用途や機能ごとに分割する方法です。
例えば、
外装
内部フレーム
可動部
透明部品
など、それぞれ適した材料や造形方式で製作します。
3Dプリントでは、造形方向によって、
が変わります。
そのため、最終的な品質を考えて分割位置を決めます。
分割して造形したパーツは、目的や材料に応じてさまざまな方法で接合します。
最も一般的な方法の一つです。
使用する接着剤は材料によって異なります。
例えば、
などがあります。
材料との相性や必要な強度を考慮して選択します。
熱や溶剤などを利用して、樹脂同士を接合する方法です。
材料によって適用できる方法が異なります。
分解・組立が必要な製品では、ボルトやナットを使用します。
繰り返し分解する部品や、メンテナンスが必要な製品に適しています。
3Dプリント品にネジ穴を設けて、パーツ同士を固定します。
インサートナットなどを組み込むことで、繰り返し使用できる構造にすることもできます。
接合部に位置決め用のピンを設ける方法です。
複数のパーツを正確に組み合わせる際に使用します。
特に大型モデルでは、接合面のズレを防ぐために有効です。
分割造形では、パーツを正確に組み合わせることが重要です。
そのため、3Dデータの段階で、
ダボ
位置決めピン
凹凸形状
ガイド
などを設けることがあります。
例えば、
凸部
と
凹部
を設けることで、パーツ同士を正しい位置に合わせやすくなります。
また、接着剤を使用する場合は、接着面積を十分に確保することも重要です。
分割造形では、パーツ同士を接合した部分に継ぎ目が残ることがあります。
そのため、外観品質を重視する場合は、接合後に表面処理を行います。
一般的には、
パーツを接合
↓
接着剤を硬化
↓
パテ処理
↓
研磨
↓
サーフェイサー
↓
再研磨
↓
塗装
という工程を行います。
この方法を使うことで、接合部分を目立たなくし、一体成形したような外観に仕上げることができます。
分割造形は、他の後加工と組み合わせることで、より高品質な製品に仕上げることができます。
例えば、
3Dプリント
↓
分割パーツを造形
↓
接合
↓
パテ処理
↓
磨き・研磨
↓
サーフェイサー
↓
塗装
↓
クリアコーティング
という工程です。
大型のデザインモデルや展示模型などでは、このような複数の後加工を組み合わせることで、より完成度の高い外観を実現できます。
3Dプリンターの造形サイズを超える製品でも製作できます。
一体造形では難しい形状を、複数パーツに分けて製作できます。
一体造形では失敗すると製品全体を作り直す必要があります。
分割することで、失敗したパーツだけを再造形できます。
パーツごとに異なる材料や造形方式を選択できる場合があります。
例えば、
本体
→ 強度重視
透明カバー
→ 透明樹脂
装飾部品
→ 高精細樹脂
という組み合わせも可能です。
パーツごとに、
などの加工を行えます。
パーツを接合すると、継ぎ目が発生する場合があります。
外観品質を重視する場合は、パテや研磨などの追加工程が必要です。
一体造形と比較すると、接合部が弱点になる可能性があります。
構造部品では、接合方法や接合位置を十分に検討する必要があります。
複数のパーツを組み合わせる場合、各パーツの寸法誤差が積み重なる可能性があります。
精密な組み立てが必要な製品では、位置決め構造やクリアランスを考慮することが重要です。
分割造形は、以下のような製品に適しています。
自動車、航空機、船舶などの大型模型。
展示会やイベントで使用する大型造形物。
大型建築物や複雑な建造物の模型。
3Dプリンターの造形範囲を超える筐体。
外装や大型パーツ。
大型の外装部品やデザインモックアップ。
製品全体を再現する大型モックアップ。
複数パーツを組み立てて完成品にする製品。
分割造形では、**「どこで分割するか」**が完成品質を大きく左右します。
分割位置を決める際には、
などを総合的に検討します。
特に外観部品では、接合線が目立たない位置に分割ラインを設けることが重要です。
一方、構造部品では、強度が必要な方向に対して接合部が弱点にならないように設計します。
つまり、分割造形は単純に3Dデータを切るだけではなく、「造形・接合・後加工・組立」を考慮した3Dデータ設計が必要です。
分割造形と一体造形には、それぞれメリットがあります。
| 項目 | 一体造形 | 分割造形 |
|---|---|---|
| 大型製品 | 造形サイズに制限 | 対応しやすい |
| 接合部 | なし | あり |
| 強度 | 一体で確保しやすい | 接合方法による |
| 後加工 | 部分によって難しい | パーツごとに加工しやすい |
| 材料変更 | 難しい | パーツごとに可能 |
| 造形失敗 | 全体を再造形 | パーツ単位で再造形 |
| 組立 | 不要 | 必要 |
| 複雑形状 | サポートが増える場合あり | 分割で対応しやすい |
どちらが適しているかは、製品のサイズや用途、必要な強度、外観品質、コストなどによって変わります。
3Dプリントの分割造形・接合とは、大型製品や複雑な形状を複数のパーツに分割して3Dプリントし、その後に接合して一つの製品として仕上げる製作方法です。
3Dプリンターには造形サイズの制限がありますが、分割造形を活用することで、その制限を超える大型製品も製作可能になります。
また、分割造形は単なる大型化のためだけではありません。
サポート材を減らす
造形方向を最適化する
造形失敗のリスクを減らす
後加工をしやすくする
材料を使い分ける
内部部品を組み込む
など、さまざまなメリットがあります。
分割したパーツは、
接着
溶着
ネジ
ボルト・ナット
位置決めピン
などの方法で接合できます。
外観品質を重視する場合は、接合後に、
パテ処理
↓
研磨
↓
サーフェイサー
↓
塗装
↓
クリアコーティング
などの後加工を行うことで、接合部を目立たなくし、一体成形品のような仕上がりを目指すことができます。
特に大型のデザインモデルや展示模型では、**「分割造形+接合+研磨+塗装」**を組み合わせることで、3Dプリンターの造形サイズを超えた高品質な大型モデルを製作できます。
アリエルでは、3Dデータの形状や用途、造形サイズ、必要な強度、外観品質などを考慮し、分割位置の検討から3Dプリント、接合、磨き・研磨、塗装、コーティングまで、完成品を見据えた製作方法をご提案しています。
「3Dプリンターの造形サイズを超える大型製品を作りたい」「大型模型を一体感のある仕上がりにしたい」「複雑な形状を分割して3Dプリントしたい」「分割したパーツを接合して塗装まで仕上げたい」など、3Dプリントの分割造形・接合についてもご相談ください。